マンションと宅配ボックス

現在の宅配ボックス利用にまつわる背景

近年、さまざまな時間帯で働く人、子育て、介護によりなかなか来客への応対ができないなどのことが原因で、宅配便などの荷物を受け取りたくても受け取れない人が増えました。そのため、宅配ボックスが設置されたマンションへの注目が高まり、マンションに宅配ボックスを設置するオーナーや管理組合が増えました。
当然、それはマンションだけにとどまらず、戸建ての一軒家も同じで、個人で戸建てを購入した人は、ポスト付近に宅配ボックスを設置し、不在時でも宅配便を受け取ろうと考えるようになりました。

ここでは、マンションと宅配ボックスに関連することを伝えたいと思います。

宅配ボックスを利用する上で気を付けること

【宅配ボックスのトラブル】のページであげたように、24時間監視下にない宅配ボックスには、さまざまなトラブルが付きまとうこととなります。

とくに、マンションの場合は、宅配ボックスの所有者は誰に当たるのかからはじまります。管理しているのは、管理組合やそれに関係する管理会社等の団体となりますが、所有者となるとマンションの共用部分に設置された共有物となりますので、マンションの一室一室を専有しているすべての人ということになります。

賃貸契約をしている場合、ただの利用契約をして、借りているだけの状態ということでしょう。

問題が起きた場合、管理会社と契約している場合ですと、管理会社が責任を負うケースがありますが、委託契約の度合いにもより、法律上、基本的に管理組合は、その業務のすべてを管理会社に委託することはできないため、宅配ボックスに関してだけ責任を負わないことが約定にあるかもしれませんので、お気を付けください。

その場合、管理組合の責任となり、組合の組合員とはマンションを専有しているすべての人間が強制的に入るものとなっていますため、総会に出席する権限、議決権を持っているすべての組合員にまで広がる可能性もあります。

大家さんから部屋を借りている人は、管理する義務はないですが、利用する際に、法的にも物理的にも正常な使用方法を守る義務は当然かかってますから、それを侵害した場合、当然責任が生まれます。

ですので、宅配ボックスを設置する場合も、使用する場合も、ある程度事前にトラブル回避する事前知識を得ていくことをお勧めします。

近代の宅配ボックスをとりまく環境

近年の動きとしては、当局側の提案として、宅配ボックスを設置するためには、それを監視するカメラの設置を義務付けることが求められるようになってきました。

これは子供が宅配ボックスに入って閉じ込められるなどのトラブルを事前に防ぐ、または早期解決するなどの他、とくに危険視される空き部屋、不在の多い部屋の住所を利用した悪意ある第三者の宅配ボックスを利用した宅配便の受け取りを防ぐためです。

もともとこの手口は古くからあり、老舗の不動産会社や管理組合には横のつながりや当局から送られてくる注意喚起の文書などで、マンション、戸建ての空き家のポストを利用した特殊詐欺関係の手紙のやりとりを応用したものとなっています。

宅配ボックスも古くからあったのですが、いままで目立った悪用がみられなかったのは、私設私書箱があったためなのですが、近年に入り、私設私書箱に関連する法改正が行われ、高いレベルでの本人確認が絶対必要となったことにより、その矛先が宅配ボックスに移行した模様です。

マンションのエントランス部分は不特定多数の人間が多く出入りしやすく、また誰かの知り合いなのだろうと、警戒もされにくく、多くの人が住まうマンションであったり、姿を宅配便業者などに扮装すれば、疑われる心配もないため、標的にされやすいみたいです。

宅配業者と宅配ボックス

せっかく宅配ボックスが設置されているマンションなどに住んでいても、業者側がその中に宅配便を入れてくれない。と、そんな話が近年多く耳に入るようになりましたが、多くの場合、利用者側の誤解が生じて、そんなトラブルが生まれていることが多いようです。

まず、宅配ボックスを利用する上で、上記でもあげましたように、近年では宅配ボックスにまつわる犯罪などのトラブルがあるため、業者側も宅配ボックスに荷物を入れるためにルールを設けるようなったということを理解しなければなりません。

正直な話、宅配業者の給料は、基本的に歩合制で、どれだけの荷物をお客様の家に届けたのかで決定されます。ですので、配達員としても宅配ボックスに入れたいことは山々なのです。

実際、配達員は荷物が総合的にまとめられている倉庫のような場所で、朝昼夜とさまざまな時間帯で配達する荷物を取り合うような形で、トラックなどに積み込むのですが、宅配ボックス指定の荷物は確実に受取ってもらえる荷物として、人気があり、競争となるケースも多いようです。

また、地域担当が固定の人の場合、どこに宅配ボックスがあるのかを把握しているケースがあり、宅配ボックスも入れられる制限というものもありますので、誰が一番早くその宅配ボックスに荷物を入れられるのか競争となるケースもあるようです。

ただし、近年上記のようなトラブルが目立つようになり、会社側、また各地域の出張所単位で、宅配ボックスにまつわるルールのようなものが設定されるようになりました。

大手などは、ホームページ等で、厳格なシステムを作り、利用者に会員登録をお願いし、会員のサービスの一環として宅配ボックスを利用することへの同意を求めるようになりました。

小さな会社などでは、小さなトラブルでも死活問題になりかねないとのことで、トラブル回避等のため、絶対に入れてはいけないような風潮を出しているところもあるようです。